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<8月1日>佐々木先生から生徒のみなさんにメッセージをいただきました


 「情熱大陸」の取材で行われた本校中庭での撮影箇所は放送時間の中に入ら

ず幻のシーンになりました。

佐々木先生も残念に思われたようです。しかし、お忙しい中にも関わらず天城の

在校生のみなさんに先生からメッセージが届きました。TV放映でも感動と勇気を

いただきましたが、重ねて、先生から私たちへの素晴らしいエールがいただけた

ことに感謝したいと思います。

  














































































   
昭和42年卒の佐々木富男です。この度、私が「情熱大陸」と云うテレビ番組で取り上げられた

事から、母校への寄稿を依頼されましたのでメッセージを送らせていただきます。

この寄稿にあたって、天城高校のホームページを見てみました。はちきれんばかりの若さにあふ

れた、はつらつとした高校生たちの沢山の写真が掲載されていました。50年前にタイムスリップ

して、半世紀前の自分の青春時代を懐かしく思い出しました。

さて、ここからは、私のメッセージを箇条書き的に伝えたいと思います。




 1.
   
「情熱大陸」の一つのシーンに、恩師と天城高校の同級生たちとの食事会の場面があったと

思いますが、高校時代の友達がもっとも気兼ねなく信頼し合って付き合えますので、良き友を

たくさん作って下さい。そして思い切り青春を楽しんで下さい。


 2.
 
高校を卒業する時点で、自分の将来について真剣に考えると思いますが、自分は何をしてい

る時が楽しいのか、自分の長所は何か、何に遣り甲斐を感じるか、といった事を考えて下さい。

好きな事が出来て、自分の長所を伸ばすことができて、遣り甲斐を感じることができれば、そ

れ以上の人生はないのではないでしょうか。その時代の流行や損得勘定に惑わされないで下

さい。そんなものは、数十年先には変わってしまっています。好きな事をしていれば、後悔する

ことはないと思います。


 
 3. 
 
劣等感を払拭する努力をしましょう。劣等感を持っていては、高い目標を達成する事は難しく

なるでしょう。自分の経験を述べますが、東京大学へ入学した当初は、「東大生はめちゃくちゃ

頭がいい人ばかりだろうから、自分はついて行けるかな?」と不安な毎日を送っていましたが、

そのうちに「一クラスに数人の天才児はいるが、殆どは自分と同程度である」と判り、自信を持

って行動できるようになりました。また、医師になってからの事ですが、学会で外国人が英語で

発表しているのを聞いているだけで、この外国人はさぞ優秀なのだろうと、物怖じしてしまって

いました。しかし、米国へ留学して、米国の脳神経外科医の実態を知ると、「とてつもなく優秀な

人もいますが、多くは、何だ、この程度なのか、この程度の人達に劣等感を持ってしまって、議

論もできなかったのか」と劣等感は完全に消失しました。日本人は日本語も英語も喋れますが、

アメリカ人は英語しか喋れません。どちらが優秀でしょうか? 英語でなく、日本語で議論し合え

ばアメリカ人には負けないでしょう。手先の器用さも日本人の方が勝っています。しかし、アメリ

カのトップクラスのエリート達の日々の努力は、並大抵なものではなく、その点では、日本人の

方が負けているように思います。


 
 4. 
 
日本のトップ、世界のトップになる、という高いモチベーションを持つようにしましょう。そうなれる

かどうかわかりませんが、低い所に目標を設定すると、それ以上へは到達できないように思い

ます。


 
 5. 
 
私は、人との出会いこそが人生であると思っています。人との出会いがその人の人生を決める

のではないでしょうか。良い教師、良い先輩、同輩、後輩、に恵まれなければ、自分では何もで

きないでしょう。私は、そうした素晴らしい人たちに巡り合い、育てていただきました。脳神経外

科の世界で、世界のトップリーダー達からかわいがっていただき育てていただきました。その時

に大切なことは、自分なりの信念を持って行動する事、ぶれない事、仕事面では妥協しないで

信念を貫き通すこと(余計な事を云うと嫌われる、損をするから黙っておこう、などと云う「やまし

き沈黙」的な姿勢では、手を差し伸べて育ててはもらえないでしょう)、などが重要だと思います。

そうした生き方をしていれば、誰かが手を差し伸べてくれるのではないでしょうか。


 
  6.
 
人生、いつ何が起こるかわかりません。従って、後悔しないように、思い切り人生を楽しんで生

きていって下さい。私が、この度、「情熱大陸」という番組で、取り上げられることなど、誰が想像

したでしょうか。67年間生きてきた本人が一番びっくりしています。

若い皆さん達には無限の可能性があります。夢の実現に向かって頑張って下さい。こうは言って

も、頑張ってばかりでは息が詰まります。適当に手抜き、息抜きをして、青春を謳歌して下さい。



昭和42年卒業
九州大学医学部名誉教授
脳神経外科医 佐々木富男

 

 


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