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山陽新聞賞受賞記念祝賀会 書家・小竹石雲さん 「筆持つ喜び若い人と」  
掲載日:2018年5月21日/紙面:山陽新聞朝刊
 
小竹石雲さんは本校OB(高21回)です。
おめでとうございました。


<山陽新聞提供>
 県書道連盟常任顧問の書家小竹石雲さん(68)=本名・康夫、岡山市南区彦崎=の第76回山陽新聞賞(文化功労)受賞記念祝賀会が20日、岡山市内のホテルで開かれた。
 県内外の書道関係者ら約300人が出席。松田正己山陽新聞社社長、佐藤兼郎副知事らが「漢字とかなが調和する近代詩文書をいちずに追究し、格調高い作品は全国で評価されている。書道界の発展、地域文化向上のため、一層の活躍を願う」などと祝辞を述べた。
 小竹さんは「言葉を大切に、ただ文字を書くのでなく、筆で人を表現することが私の使命。筆を持つ楽しみ、喜びを若い人たちと一緒に広げていきたい」と精進を誓った。
 小竹さんは故三宅素峰氏らに師事。書道芸術院など中央書壇で活躍する一方、県書道連盟会長として2015年の同連盟展第50回記念展を成功に導いた。 (松山定道)

 
 
美しい歌声 多くの人へ 全国大会ダブル受賞の倉敷少年少女合唱団 
22日、定期演奏会 受賞作など16曲披露
 
掲載日:2018年4月19日/紙面:山陽新聞朝刊
 
<山陽新聞提供>
 
声楽アンサンブルコンテスト全国大会(3月22〜25日、福島市)で、県内の合唱団では初めて小学校・ジュニア、一般の2部門で同時受賞を果たした倉敷少年少女合唱団(難波夕鼓団長)が地元に 凱旋 がいせん 。受賞曲などを披露する記念の定期演奏会を22日、倉敷市本町、市民会館で開く。 (山本真慈)

 コンテストは両部門に計43チームが出場。同団は各16人のチームで挑み、年齢制限のない一般部門は「アヴェ・マリア」「ラウダーテ・ドミヌム」の2曲、小学生中心の小学校・ジュニア部門が「朝の賛美歌」「蚊のカノン」など5曲を披露。それぞれ銀賞と銅賞を獲得した。

 県合唱連盟によると、1団体の両部門同時受賞、一般の銀賞とも県内初。難波団長は「声楽的な美しい発声など鍛えてきた実力を発揮できた」と喜ぶ。

 4歳〜大学生の約140人が所属する大所帯。練習は週1回3時間が基本と多くはないが、素早い整列や片付けを心掛け、限られた時間を有効に使う。「歌が好きで成長したい人が集まっており、一人一人が責任感を持っている」と、倉敷市立西小5年藤井歩さん(10)は胸を張る。現在は演奏会に向け歌声を磨くメンバーに、難波団長は「みんな取り組み方が主体的。何より楽しそうに歌う」と目を細める。

 演奏会ではコンテスト全曲を含め計16曲を披露する予定。「ドレミの歌」「エーデルワイス」などの名曲で知られるミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」も団員全員で上演する。同団総リーダーの天城高校3年大道爽羽さん(17)は「受賞した歌声に自信を持ち、多くの人に楽しんでほしい」と意気込んでいる。

 午後2時開演。入場無料だが、事前申し込みが必要。問い合わせは事務局(080―5612―7682)。

 
 
夢の架け橋30年 心癒やすあんどん JR茶屋町駅 天城高書道部が協力  
掲載日:2018年3月25日/紙面:山陽新聞朝刊


<山陽新聞提供>
 
 JR瀬戸大橋線の開業30周年を記念し、JR西日本岡山支社はJR茶屋町駅で、あんどんの明かりなどで駅前を彩る「灯りの 小路 こみち 」を行っている。4月19日まで。

 同駅西口前の約30メートル区間にあんどん(高さ約40センチ)15基を設置し、毎日午後6時から翌日午前1時まで点灯している。

 あんどんの側面には、天城高校(倉敷市藤戸町天城)書道部の1年生7人が「マリンライナー夢を乗せて」「三十年の軌跡」などとしたためたほか、「感謝」の文字の横に「築いていこう新たな歴史を」といったメッセージを添えた特大の書作(縦1・2メートル、横4メートル)も制作し、展示している。

 淡いオレンジ色の光が額に張られた文字をくっきりと浮かび上がらせ、通勤客らが足を止めて眺めている。

 「駅を利用する人の心が癒やされればうれしい」と同高1年で書道部の西野心都さん(16)。山本誠雄駅長(58)は「30年間歩んでこられたのは利用者の支えがあってこそ。これからも安全で快適な運営を心掛けたい」と話していた。

 JR瀬戸大橋線は1988年3月20日に茶屋町―児島間で開業。同4月10日に宇多津駅までの全線で運行がスタートした。(西平亮)

 
「科学の甲子園」 チームワークだ 初出場 天城高2年8人  
掲載日:2018年3月13日/紙面:山陽新聞朝刊
 

<山陽新聞提供>
 

 天城高校の2年生8人が、16〜19日にさいたま市で開かれる、高校生が科学の知識や技能を競う「科学の甲子園全国大会」に出場する。同高の生徒としては初出場となり、メンバーは健闘を誓っている。

  大会には都道府県代表47チームが参加し、筆記競技と実技競技3種目に挑戦。筆記は理科、情報、数学の分野から出題され、実技は各分野の知識を応用して課題を解決する。8人は「天城5/5」のチーム名で、昨年11月の県予選に参加して優勝した。

  メンバーのうち7人は、前回の県予選にも1年生主体のチームで出場。結果は2位に終わったが、手応えを感じたリーダーの〓渕大斗さん(17)が雪辱を期して「天城5/5」を結成した。

  今回の県予選1カ月前からは、連日、始業前と放課後に集まって問題を解いたりアドバイスし合ったりして学習。本番では筆記と実技1種目で1位の成績を上げるなど総合力の高さを見せ、優勝した。

  現在は、公開されている全国大会の実技競技1種目の対策に取り組む。竹ひごやフィルム、モーターなど指定された材料で、羽ばたいて進む機械を作り、規定のコースでゴールまでの時間を競う競技で、機体の試作を重ねている。

  チームを指導する同高サイエンス部顧問の野津俊朗教諭は「全国出場は努力のたまもの。楽しんで力を出し切ってもらいたい」と話す。粟木原正和さん(17)は「レベルの高さが想像できず不安はあるが、チームワークを生かし一人一人ができることをやる」と活躍を誓う。(山本真慈)

◆文化、科学優秀成績の中高生 17人12団体表彰 県教委  
掲載日:2018年2月9日/紙面:山陽新聞朝刊
 
 県教委は8日、文化や科学の全国大会で優秀な成績を収めた中高生をたたえる2017年度の「県学校文化関係表彰式」を県庁で行い、17人12団体に表彰状を贈った。

 式では竹井千庫教育長が「さらに飛躍され、文化、科学の活動を地域や学校で広げてほしい」と激励した。

 生徒による結果報告もあり、昨年の全日本吹奏楽コンクールなどで金賞に輝いた学芸館高吹奏楽部の2年池田奈穂さん(17)、辻涼泉さん(17)は「部員一人一人の強い思いがあってこその結果。これからも精進していく」と話した。


  表彰されたのは次の皆さん。(敬称略、数字は学年)

  【個人】省略

  【団体】山陽女子中放送部、天城高囲碁将棋部、倉敷商業高簿記部、津山商業高珠算部、笠岡工業高、就実中高バトン部、明誠学院高演劇部、同高書道部、学芸館高吹奏楽部、清心女子高生命科学課題研究化学班、同高生命科学コースデンジソウ研究グループ、おかやま山陽高スピーチ部

 (水嶼佑香)

 
中高一貫 天城中開校10周年 独自科目で学び多彩 ゼミ形式の卒業論文 
掲載日:2017年12月3日/紙面:山陽新聞朝刊
 

県内で2番目の県立併設型中高一貫校として2007年に開校した天城中学校(倉敷市藤戸町天城)が今年、創立10年を迎えた。「21世紀を主体的に担う人材の育成」を掲げ、主要教科に加えて科学的思考力などを養う独自の教育プログラムを展開、多彩な学びを提供している。 (安部晃将)

 

 「5杯のミルクティーがあるとして、それぞれ牛乳、紅茶のどちらを先に入れたか、試飲で分かるだろうか」

 10月下旬、同校の独自科目「サイエンス」の2年生の授業で、橋田千寿教諭(47)が問い掛けた。

 この日のテーマは「 蓋 がい 然 ぜん 性」。確率の概念に基づき、勘で正解したケースと味の違いを理解して正解したケースの判別法を探った。

 生徒たちは「試飲回数を増やした際の正答率で判断すべき」として実験。5杯分の試飲を5枚のコイン(表が正解)に置き換え、の想定で5枚同時のシャッフルを繰り返して全て表になる確率の変動を記録した。

 累計正答率は回を重ねるごとに低下。250回目、当てずっぽうで5杯とも正解する確率(3%)に近い3・6%となったため、「約250回試飲し、正答率が3%を大幅に上回っていれば本物の舌を持っている」と結論付けた。

 受講した井元達稀さん(14)は「表面的な事象にとらわれず、客観的なデータに基づき精査する大切さが分かった」と話した。

 総合力を養成

 同中では、総合学習の時間などを活用して三つの独自科目(週各1回)に取り組んでおり、「サイエンス」はその一つ。実験や実習を通じて科学的思考を深めるのが狙いだ。

 ほかに、相手に考えを論理的に伝える手法を学ぶ「グローバル」と、岡山の歴史などを調べて発表し合う「AMAKI学」がある。

 独自科目は3年時から、生徒約10人に教諭1人が付くゼミ形式となり、各生徒が自由に設定した課題に1年掛かりで取り組み、A4判4枚の論文にまとめる。

 「正七角形が作図できない理由」「小倉百人一首から読み取る恋愛観」…。学校に残るこれまでの卒業論文には、個性豊かな成果が並ぶ。

 丸山浩副校長(52)は「自力で課題を考え、解決策を見いだす。暗記に偏りがちなテスト勉強だけでは身に付かない、知的探求の『総合力』を育むのが狙い」と説明する。

 豊富な授業時間

 こうした柔軟な学びを可能にしているのは、授業時間の豊富さだ。公立中が1日50分×6コマを基本とする中、天城中は同45分×7コマに設定することで時間を確保。「高校入試がなく、生徒が心にゆとりを持って臨める環境も大きい」と丸山副校長は話す。

 中高一貫のメリットも生かす。数学や英語では高校の内容を一部先取りして学習。天城高生の放課後自主勉強会に加わったり、部活動や学園祭を中高共同で行ったりするなど、上級生からの刺激が得られる交流機会も設けている。

 開校以来進めてきた教育の成果は、大学への進学実績に表れはじめている。東京大合格者は2015、16年の各1人から、17年は天城高からの合流組を含めて6人に増えた。

 中塚多聞校長(59)は「今後は蓄積してきた教育ノウハウに一層磨きを掛けていく。社会で立派に活躍できる人材を輩出し、地域の期待に応えていきたい」と力を込める。


 
岡山イノベーションコンテスト2017 公開プレゼンテーション 
掲載日:2017年11月26日/紙面:山陽新聞朝刊
 
<山陽新聞提供>

 

「岡山イノベーションコンテスト2017」の最終審査会では、ファイナリスト16組が一般公開プレゼンテーションに臨んだ。各組は地域活性化や農業、保育などの幅広い事業プランを披露し、来場者約1200人は熱心に耳を傾けていた。各部門の事業プラン内容を紹介する。

入賞

 地元交通・企業とのマッチング業 岡山県立倉敷天城高校 三谷孝太郎さん

 バス、鉄道、タクシー、フェリーなど地元交通共通の乗車ICカードを発行し、カード入金額の10%分を、地元商店街で利用できるクーポン券を提供する。

 これにより、公共交通の利用促進による渋滞の緩和・収入の増加、クーポン券利用による商店街の活性化などが見込めるほか、顧客にも買い物のメリットが生まれるなど、関係する3者ともに満足度が高まる。


 

城高が栄冠 総社で県内中高生 科学知識競技 
掲載日:2017年11月19日/紙面:山陽新聞朝刊
 
<山陽新聞提供>

 県内の中高生が科学の知識や技能を競う「サイエンスチャレンジ岡山2017」(県教委主催)が18日、総社市三輪の吉備路アリーナで開かれ、天城高の「天城5/5」が優勝した。同高は来年3月にさいたま市で開かれる「科学の甲子園全国大会」に出場する。

  30校から43チーム約310人が出場。数学、物理などの筆記試験と、生物、地学分野の問いの答えを会場周辺の自然から見つけてくるフィールドワークといった実技3競技の合計得点を競った。

  輪ゴムの動力で自走する車を作る実技では、割り箸を材料に各チームが趣向を凝らしたマシンを手作り。車輪の形や車体のバランスを工夫し、3メートルのコース完走を目指した。

 他の上位チームは次の通り。 (2)Aさひえんす(朝日高)(3)チーム蒼竜(一宮高)

 (西平亮)

 ★本社HPに動画

 【写真説明】輪ゴムと割り箸で作った車を走らせる参加者たち

 

天城高サイエンス部 児童招き来月実験教室 
掲載日:2017年11月16日/紙面:山陽新聞朝刊
 

<山陽新聞提供>
 

 天城高校(倉敷市藤戸町天城)のサイエンス部の生徒たちは12月16日、校内で小学生と保護者向けの科学講座「おもしろ実験教室」を開く。日用品や食材を使った多彩な企画を用意し、科学の面白さを体感してもらう。

  同高は文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールに指定されており、日頃の学びを地域に還元しようと、併設する天城中のサイエンス部員と協力して2015年から毎年開催している。

  今回は、半分に切ったペットボトルと風船を組み合わせて空気鉄砲を製作したり、洗濯のりに塩や絵の具を混ぜてスーパーボールを作ったりする工作体験を中心に、六つのコーナーを計画している。すりつぶした野菜から繊維状のDNAを抽出する実験も予定する。

  生徒たちは、本番に向けて放課後に準備を進めており、天城高サイエンス部長の2年渕大斗さん(16)は「科学の醍醐味の驚きと感動を与えられるよう、精いっぱい頑張りたい」と意気込む。

  午前10時〜正午。無料。定員100人(先着順)。天城高ホームページから申込書をダウンロードしてファクス(086―428―1253)する。(安部晃将)

   【写真説明】本番に向け、予定する企画の試行を重ねる天城高の生徒ら

 


 岡山医療健康ガイド メディカ Vol.157 医学教授に聞く 岡山大学大学院呼吸器・乳腺内分泌外科学 豊岡伸一教授 世界目指し地域見つめる
掲載日:2017年11月6日/紙面:山陽新聞朝刊
 

<山陽新聞提供>
―歴史と伝統ある講座の教授に48歳の若さで就かれました。

 講座のルーツは1923年に開講された外科学第2講座にさかのぼります。当時は全ての臓器を対象としていましたが、臓器別に専門・細分化する流れの中で、今は肺をはじめとした呼吸器と乳腺、甲状腺などの内分泌に特化しています。

 歴史は古くても、若手が上に対して自由に意見を言える気風が特長です。分かりやすい例が移植医療でしょう。1998年に国内初の生体肺移植を成功させたのは、当時助手だった伊達洋至先生(現・京都大学病院呼吸器外科教授)です。重い気管支拡張症だった患者の病状が直前に悪化し、難しい事例でしたが、当時の教授らが決断しました。岡山大学はそれ以来、脳死移植も含めて移植医療をけん引しています。新しいことに挑戦する自由な気風を受け継ぐためにも、私は後輩たちが何でも相談できる存在になりたいです。

 ―治療の実績や特徴について教えてください。

 呼吸器外科では肺がんを中心に年間約400症例を手掛けており、10年前の約250症例から大きく増えています。がんが早く発見されるようになったことに加え、他病院で治療が難しい症例の相談も多くなっています。例えば、リンパ節へ転移したり、気管へ浸潤したりして進行した肺がんでも、肺をなるべく残して呼吸機能を温存する手術をしています。体への侵襲が少ない内視鏡手術も増えています。手術後に、それまで通りの暮らしができるよう「可能な限り肺を残す」を合言葉にしています。

 講座では乳腺・甲状腺などの診療・研究も担当しています。特に乳がんは、乳房を切除するだけでなく、再建する手術に積極的に取り組んでいます。若い患者に多い遺伝性の乳がんの診療や、子どもを望む女性患者のために抗がん剤治療を受けても妊娠が可能となる支援も進めています。

 ―最先端の研究も進んでいますね。

 私は前任の岡山大学大学院臨床遺伝子医療学の教授時代、究極のオーダーメード医療ともいえる「プレシジョン・メディシン」(精密医療)の専門外来を、京大病院に次いで開設しました。がんの原因となる遺伝子変異を患者個々にピンポイントで探し当てて最適な薬を投与します。治癒効果が高まるし、薬の副作用で苦しむことも避けられます。岡山大学はその研究・治療拠点となる体制を整えています。

 これとは別に、岡山大学が発見したがん治療遺伝子「REIC」による悪性中皮腫治療の臨床試験も始めています。新薬承認を目的に企業主導で試験をしています。悪性中皮腫は治癒が困難ながんの一つだけに、良い結果が出せれば、と思っています。

 ―がん治療に対する思いは強いようですね。いつから医師を志すようになったのでしょうか。

 天才外科医を主人公にした手塚治虫先生の漫画「ブラックジャック」に影響を受けたのは言うまでもありませんが、小学生の時に骨肉腫と闘う少女を描いた映画を見たのが、がんを強く認識した最初です。その後、祖父が肺がんで亡くなり、身近な病気になりました。同じ頃、がん細胞について特集したテレビ番組を見て、体の中にある細胞が別のものになって命を奪っていくことに非常に不思議さや不条理さを感じ、この病気をもっと知りたいと思いました。それが医師を目指す大きな動機になり、今もそれは変わっていません。

 ―講座のスタッフに伝えていきたいことは。

 外科医として腕を磨くのはもちろん、研究にも取り組んでほしいです。大学は研究と診療部門の両方あるのが強みであり、その強みを生かすのが責務です。臨床の現場にいると、「なぜ」と思う現象によく出くわします。それを研究して次の治療に生かすことが大切です。大学には優れた基礎研究を行っている方が大勢いらっしゃるので、彼らと連携して現場にフィードバックする役割も求められます。その積み重ねが医療全体のレベルを上げることにつながるのです。

 もう一つ、海外留学もしてもらいたいです。私自身、若い時に米国の大学に3年間行き、今に生きる多くの学びを得ました。私の育成したい人材は「世界を目指し、地域を見つめる外科医」です。地域で良い医療をするためにも一度は海外で経験を積むことを勧めたいです。

 ―理想の外科医像はどのような姿でしょうか。

 患者さんが手術を受けたことすら忘れるような存在でしょうか。手術は体を傷つけるので、患者さんは治っても痛みや再発への不安に悩まされることが多くあります。そうではなく、病気が治り、日常生活で痛みもなくなることが大切です。

 私自身、かつて担当した患者さんに数年ぶりにお会いしたら手術したことを忘れていた、という経験がありました。主治医としては寂しい気もしましたが、外科医としてこれほどうれしいことはないのでは、とも思いました。つらい治療だと患者さんはずっと覚えているものです。がんを経験しても、カラオケをしたい、フルマラソンを走りたい、という患者さんはいます。その願いをかなえる努力を怠ってはいけません。

     ◇

 伝統が息づく研究室で、先端治療に挑む臨床の最前線で、スタッフを束ねて指揮する新進の医学教授に決意を伺う。(随時掲載)

聞き手 阿部 光希

写真  田村 文明

 とよおか・しんいち 倉敷天城高、岡山大医学部卒。同大大学院医学研究科修了。米テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンター、国立がんセンター東病院胸部外科勤務、岡山大大学院呼吸器外科講師、同臨床遺伝子医療学教授などを経て2017年6月から現職。日本癌学会評議員、日本肺癌学会理事・評議員、日本呼吸器外科学会評議員のほか、世界肺癌学会の公式雑誌で編集委員も務めている。玉野市出身。
 
 
 
 
 


<山陽新聞提供>
 中国銀行(岡山市北区丸の内)と山陽新聞社(同柳町)は2日、独創的なビジネスのアイデアや実践例を表彰する「岡山イノベーションコンテスト2017」の最終審査に進出する16組を発表した。

 学生や社会人、経営者を対象にした5部門にそれぞれ3、4組を選出。11月4日に岡山シンフォニーホール(同表町)で一般公開のプレゼンテーション審査があり、部門ごとに大賞を決める。大賞受賞者には賞金100万〜200万円(高校生の部は図書カード20万円分)などが贈られる。


 最終審査に進んだのは次の皆さん。(敬称略、かっこ内は所属)

 高校生 小川寛史(後楽館)三谷孝太郎(天城)北川菜々子(矢掛)杉原伶奈(岡山南)▽大学生・専門学校生 河津優平(岡山理科大)石黒楓(岡山大)大西徹(香川大大学院)▽社会人・創業前 中山真里(はぐみプロジェクト)平林久周(平林金属)中嶋佳乃子(ベネッセコーポレーション)▽経営者・創業5年未満 丸尾宜史(レプタイル)中山憲太郎(弥次右エ門)田中哲也(D&Tファーム)▽経営者・創業5年以上 平野幸司(果実工房)松尾浩紀(ダイヤ工業)植田博幸(植田板金店)

 (水野雅文)

 ● 岡山イノベーションコンテストこちらからのページはご覧ください


 
科学全国コンテスト優秀成績 高校生5人 県教育長報告
掲載日:2017年10月5日/紙面:山陽新聞朝刊
 
<山陽新聞提供>
 物理チャレンジなど8月にあった科学関係の全国コンテストで、県内の高校生5人が優秀な成績を収めた。4日、県庁を訪れ、竹井千庫県教育長に結果を報告した。

 5人は、物理チャレンジ銀賞で朝日高3年の安藤貴政さんと沼本真幸さん、銅賞の同高2年大倉拓真さん、化学グランプリ銅賞の天城高3年小西悠斗さん、日本生物学オリンピック銅賞の操山高3年星加智子さん。

 竹井教育長は「皆さんの堂々とした姿から、経験が人間の幅を広げていると感じる。今後も努力し、大きく飛躍してほしい」と述べ、記念品のタオルを一人一人に手渡した。

 2年の大倉さんは、来夏にポルトガルで開かれる国際物理オリンピックの日本代表候補にも選ばれ「物理チャレンジで全国の参加者から刺激を受けた。もっと勉強を頑張って国際大会を目指したい」と話した。

 (水嶼佑香)


 
「二人のHIROSHI」展 倉敷市立美術館 
社会見つめた画業回顧 画家・貝原 鉛筆1本で人生に迫る

掲載日:2017年8月17日/紙面:山陽新聞朝刊
 

<山陽新聞提供>

 

世界を旅して人物や風景を描いた倉敷市出身の画家貝原浩(1947〜2005年)と、地元で中学教諭をしながら銅版画を深めた岡山市出身の版画家永岡博(1937〜2007年)。倉敷市立美術館(同市中央)の特別展「二人のHIROSHI」は、独自の視点で社会を見つめた二人の画業をたどる。

 天城高から東京芸術大へ進み、商業デザイナーになった貝原。雑誌の挿絵、ポスター、舞台芸術など82点は仕事の幅広さを示す。チェルノブイリ原発事故で汚染されたベラルーシの村を、絵巻物風に描いた全14点の水彩画「風しもの村」(1992〜93年)が転機となり、自らの創作に注力した。

 鉛筆画「FAR WEST」シリーズ20点は旅先で出会った人々が主題。何かを見つめる女性の目が印象的な「そっちは行き止まり エヴォラ・ポルトガル」(2000年)など、鉛筆1本で人生に迫るような緻密な描写が印象的だ。

 永岡は岡山大特美在学中から前衛美術に傾倒。戦争体験を投影した浜田知明の銅版画に触発され、1969年から取り組んだ銅版画77点が並ぶ。「仮面」「獄」など 閉塞 へいそく 感漂う人物の表現が次第に抽象化。99年から一転、岡山市・犬島の銅精錬所遺構など写真から版を起こすフォトエッチングを手掛けた。

 「PLACE」(2006年)は、犬島の写真と昔の地図の線描を刷り重ねた実験的な作品。版を介して交錯する現在と過去は、小さな島を 翻弄 ほんろう した大きな時代の流れを捉えようとしたのかもしれない。

 道半ばで病に倒れた二人。「作風はまったく異なるようだが、どちらも根底に人間への共感がある」と佐々木千恵主任学芸員は指摘する。併せ見ることで、人間疎外の近代文明にあらがおうとした芸術家の熱い魂が浮かび上がるようだ。

同展は山陽新聞社など主催。9月10日まで(月曜休館)。

(松山定道)


 
棋界 倉敷天城 3位 県勢初 全国高校将棋選手権男子団体
掲載日:2017年8月6日/紙面:山陽新聞朝刊


<山陽新聞提供> 

宮城県白石市で3、4日に開かれた「第53回全国高校将棋選手権大会」の男子団体で、倉敷天城高チームが3位に入った。岡山県高校将棋連盟によると、男子団体で県勢の3位入賞は初めて。

 

  男子団体には各都道府県代表(昨年優勝の栃木県は2校)48校が出場。天城高は5月の県予選会と同じメンバーで、天城中時代に全国大会団体戦の優勝経験がある3年河端佑一郎さん、同篠原俊輔さん、1年林昂平さんのチームで臨んだ。

 

  初日の予選リーグは4勝0敗で決勝トーナメントに進出。トーナメント1回戦で鳥取西高、2回戦の千葉経済大付高をそれぞれ3―0で退け、ベスト4に進んだ。2日目の準決勝では、同大会3連覇の経験がある強豪・岩手高と激突。篠原さんが勝利したものの、河端さん、林さんは敗れ1―2で惜敗した。

 

  主将を務めた河端さんは「このメンバーなら優勝を狙えると思っていたので正直残念だが、力は出し切れた」と話していた。

 

   (宗宮正行)

 
風を使った実験に挑戦 興除小児童 天城高生が出前授業
掲載日:2017年8月1日/紙面:山陽新聞朝刊
 

<山陽新聞提供>

 興除小学校(岡山市南区中畦)で31日、天城高校(倉敷市藤戸町天城)理数科の生徒が夏休みを利用して児童に理科を教える出前授業が開かれ、同小の2〜6年生30人が風を使った実験に挑戦した。

 

 同高1年生10人が訪問。児童は生徒のアドバイスを受けながら、ストローに息を吹き込んだり、ドライヤーを上向きにして風を送ったりして、卓球のボールや発泡スチロールの球などを宙に浮かせた。最初はバランスを取るのが難しく苦戦していたが、こつをつかむと「僕の方が(球が)高く上がったよ」などと友達と競争する姿も見られた。

 

 同小6年の田川凪さん(11)は「高校生と一緒に授業ができて楽しかった。理科は苦手意識があったけど、これからは頑張ってみたい」、同高1年の上杉直輝さん(16)は「今回の実験が、理科に興味を持ってもらえるきっかけになれば」と話していた。

 

  天城高の生徒による興除小での出前授業は2006年から毎年行っており、12回目。

 

   (山本貴之)

 
 
社会と人 あり方 問う 画家・貝原浩氏と版画家・永岡博氏 倉敷市立美術館  特別展あす開幕 
掲載日:2017年7月14日/紙面:山陽新聞朝刊
 

<山陽新聞提供>

倉敷市出身の画家貝原浩氏(1947〜2005年)と岡山市出身の版画家永岡博氏(1937〜2007年)の画業に光を当てる特別展「二人のHIROSHI」(倉敷市、同市教委、同市立美術館、山陽新聞社主催)が15日、同市中央の同美術館で開幕する。美術を通して社会と人の在り方を問い続けた二人の世界が浮かび上がる。9月10日まで。

 

  貝原氏は天城高、東京芸術大を卒業。デザイナー、イラストレーターとして活動する一方、世界を旅して風景や人物画を制作。1992年にチェルノブイリ原発事故で被災したベラルーシを訪ね、人々の暮らしを温かく見つめた絵巻「風しもの村」で注目された。

 

  永岡氏は岡山大教育学部特設美術科(特美)を卒業し、倉敷市立琴浦中などで美術教師をしながら銅版画の創作活動を展開。特に晩年は、現実と幻想が交錯する世界を表現。岡山市・犬島などの廃虚や廃棄物をモチーフに、打ち捨てられたものに目を向け続けた。

 

  同展は貝原氏の生誕70年、永岡氏の生誕80年を記念。貝原氏の「風しもの村」や欧州やアジアへの旅で描いた鉛筆画「FAR WEST」など約80点と、永岡氏の初期から最晩年までの版画約70点を一堂に展示する。

 

  開館時間は午前9時〜午後5時15分(初日は午前10時開場)。17日を除く月曜と18日休館。一般600円、65歳以上と高校・大学生300円、小・中学生100円。問い合わせは同美術館(086―425―6034)。旧倉敷、児島、玉島の3市合併50周年の記念事業。 (大石哲也)

 

 
伝わる「生きる喜び」 首から下まひ 急逝の画家牧野さん(倉敷) きょうから追悼展 
掲載日:2017年7月22日/紙面:山陽新聞朝刊
 

<山陽新聞提供>

口にくわえた筆を自在に操った生命力あふれる絵や書で知られ、先月51歳で急逝した牧野文幸さん=倉敷市田ノ上=の追悼展が22日から、同市中央の加計美術館で開かれる。首から下がまひした体で一筆一筆に心を込めた生涯の作品を通して、「生きることは描くこと」と創作に向かい続けた情熱を伝える。(大石哲也)

 

  牧野さんは1982年、天城高2年の時に水泳部の飛び込み練習で頭を強打、 頸椎 けいつい 脱臼の大けがを負った。自発呼吸も難しいとされたが、懸命のリハビリで復学し、1年遅れで卒業。その後の生きがいとしたのが、理学療法士に勧められた油絵だった。

 

  マウスピースをはめた口に長さ約50センチの筆をくわえ、舌や唇、わずかな首の動きで筆の運びを細かく制御。繊細なタッチで馬の躍動する姿や愛犬、愛猫の愛らしい表情などを描き、個展やグループ展などで注目を集めた。制作を書に広げ、相次ぐ講演依頼にも応えて、作品と言葉で思いを伝えてきた。数年前から体調を崩しがちになり、6月4日に容体が急変。肺炎で亡くなった。

 

  追悼展は、牧野さんの個展をこれまで3回企画した同美術館が主催。朝焼けの空に疾走する2頭の馬を鮮烈な色彩で表現した「駆ける」(1998年)や愛猫の穏やかな表情が印象的な「ねこ」(91年)などの油絵をはじめ、体調を崩してからの花々を描いた小品や自作の詩をつづった書を加えた約70点を並べる。生あるものの躍動感やぬくもり、優しさを宿した作品からは「生きる喜び」が伝わってくる。

 

  「一見素朴な絵の奥に、見る人を引き付けてやまない強さと温かさがある」と松村麻太学芸員は惜しむ。牧野さんをそばで支え続けた母静さん(77)は「常に前を向き、生きることへの感謝を欠かさなかった息子の人生を知ってほしい」と話している。

 

  9月3日まで。月曜休館。問い合わせは同美術館(086―427―7530)。

 
用水路に転落した女性救助 天城高7人「県わかば賞」 
掲載日:2017年6月11日/紙面:山陽新聞朝刊
 
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 用水路に転落した女性を助けたとして、天城高校(倉敷市藤戸町天城)の男子生徒7人に9日、青少年の善行をたたえる「県わかば賞」が贈られた。

  救助したのは卒業式があった3月1日。7人は当時、1、2年生で、ソフトテニス部に所属。現在は3年の元部長橋遼平さんらによると、同日、卒業する先輩を送る会を開こうと同市新田の飲食店駐車場に集合していたところ、「人が落ちた」という叫び声を聞いた。急いで現場に向かうと、自転車ごと用水路に転落し、足を負傷している女性を発見。女性を救出して自転車も引き上げ、近所の人と協力して自宅まで送り届けた。

  同校で伝達式があり、県青少年相談員の中島民男さん(74)から7人それぞれに賞状と記念の盾が贈られた。橋さんは「突然の出来事で、必死だった。無事でよかった」と話していた。

  橋さんのほかに受賞したのは、恩賀天汰さん、内大保龍紀さん、佐藤彰太さん、田頭克浩さん、松岡亮汰さん、松岡賢汰さんで、いずれも2年。

  同校と天城中学校(両校は中高一貫校)の各生徒会にも9日、「県わかば賞」が贈られた。両校の各生徒会は、地域住民と力を合わせて年2回の倉敷川沿い清掃を続けている。 (中原由華)

陶芸家・加藤直樹(岡山) 韓国の世界陶磁ビエンナーレ銅賞 
掲載日:2017年5月18日/紙面:山陽新聞朝刊
 
<山陽新聞提供>

県わかば賞を贈られたソフトテニス部関係の生徒(前列の7人)と天城中・高校の各生徒会代表者

 

 

   用水路に転落した女性を助けたとして、天城高校(倉敷市藤戸町天城)の男子生徒7人に9日、青少年の善行をたたえる「県わかば賞」が贈られた。

 

  救助したのは卒業式があった3月1日。7人は当時、1、2年生で、ソフトテニス部に所属。現在は3年の元部長〓橋遼平さんらによると、同日、卒業する先輩を送る会を開こうと同市新田の飲食店駐車場に集合していたところ、「人が落ちた」という叫び声を聞いた。急いで現場に向かうと、自転車ごと用水路に転落し、足を負傷している女性を発見。女性を救出して自転車も引き上げ、近所の人と協力して自宅まで送り届けた。

 

  同校で伝達式があり、県青少年相談員の中島民男さん(74)から7人それぞれに賞状と記念の盾が贈られた。〓橋さんは「突然の出来事で、必死だった。無事でよかった」と話していた。

 

  〓橋さんのほかに受賞したのは、恩賀天汰さん、内大保龍紀さん、佐藤彰太さん、田頭克浩さん、松岡亮汰さん、松岡賢汰さんで、いずれも2年。

 

  同校と天城中学校(両校は中高一貫校)の各生徒会にも9日、「県わかば賞」が贈られた。両校の各生徒会は、地域住民と力を合わせて年2回の倉敷川沿い清掃を続けている。 (中原由華)


 
 
全国高校将棋県予選団体 天城A(男子A) 
掲載日:2017年5月4日/紙面:山陽新聞朝刊
 
<山陽新聞提供>
 

 第47回県高校将棋選手権大会を兼ねた第53回全国高校将棋選手権大会県予選会(県高校文化連盟、県高校将棋連盟、山陽新聞社主催)が3日、岡山市北区柳町の山陽新聞社で始まった。男子団体A組は天城Aが3連覇し、女子団体は青陵Aが制した。女子個人は山下祐季さん(倉敷南2年)が初優勝を飾った。

 男女計111人が出場し、男女の団体と女子個人を行った。棋力の高い13チームで争った男子団体A組は、決勝で天城A(河端佑一郎、篠原俊輔、林昂平さん)が青陵Aを3―0で下した。19チーム出場の同B組は天城C(越智、小野、田辺さん)が制した。

 3チームによる女子団体は決勝で青陵A(松田珠苑、中野由梨、高田萌衣さん)が倉敷南を2―1で破った。9人が出場した女子個人は山下さんが荒瀬理子さん(倉敷南1年)を下した。

 男子団体A組の天城Aと女子団体の青陵A、女子個人の山下さんと荒瀬さんは8月、宮城県白石市で開かれる全国大会に出場する。

 

最終日の4日は男子個人がある。

その他の主な成績は次の通り。(敬称略)

 【男子】団体A組 (2)青陵A(出口、野町、小玉)(3)大安寺A(松尾、沖永、宮川)一宮A(佐藤、山本、岡本)▽同B組 (2)青陵C(佐藤、江口、石野)(3)天城D(越智、小林、塩田)総社(竹森、平松、宮原)【女子】団体 (2)倉敷南(山下、荒瀬、土岐)(3)青陵B(奥谷、池田、矢矧)▽個人 (3)土岐綾子(倉敷南2年 

 
◆        難関大向け合宿 壁越える勇気育てる  
掲載日:2017年3月27日/紙面:山陽新聞朝刊
 
<山陽新聞提供>

 「大学入試っちゅうのはな、言うてみたらパズルのピースを埋める作業や。(国公立大2次試験がある)来年の2月25日までに何ピースを埋められるか。東大が5千ピースなら、それをどう埋めていくかが問われるんや」

  「キムタツ」と呼ばれるカリスマ英語教師の言葉一つ一つを逃すまいと、じっと聞き入るのは県内の高校2年生有志84人だ。いずれも東京大、京都大など難関大を目指す生徒たち。倉敷市の宿泊施設で1月4日から3日間、泊まり込みで行われた「合同学習合宿」は熱気に満ちていた。

  「多くの仲間に会えてやる気が増した」「問題の解き方のこつが分かった」。表情からは1年後、「合格」の2文字を勝ち取る意気込みが伝わってくる。

    ■ ■ ■

  合宿では生徒たちの意欲を高める多彩なメニューが用意された。県出身の東大生らとの座談会、参加者同士のディスカッションなど。目玉はキムタツら有名講師による講義だ。

  私立灘高(神戸市)の木村達哉教諭(53)。年間約100人の東大合格者を輩出している屈指の進学校で教える傍ら、セミナーや講演で全国を飛び回る。魅力は生徒たちのやる気を引き出す話術にあるという。

  合宿は県内の教員らでつくる実行委が2年前から正月明けに始めた。難関大合格者をいかに増やすかが大きな狙いだった。

  実行委などによると、県内の東大合格者は長らく減少傾向にある。2016年度は22人で、この10年で50人近くも減少している。要因は、単に学力が低下しているだけとは言い切れそうにない。

   「最近の生徒はナンバーワンを狙うのに遠慮がある。自分で壁をつくってしまっている。自分の力を低く見積もっている生徒もいる。挑戦する勇気を育てられていないのかも」。青陵高進路指導課長で実行委メンバーでもある三村美紀教諭(50)は指摘する。

  こうした見立て通り、チャレンジする生徒がそもそも少ない。京大には16年度、県内から48人が合格したが、志願者は130人で10年前と比べ4割も減っている。東大についてのデータはないが、同様の傾向とみられる。

  合宿では教員たちも自主的に研修を行った。実行委員長の中塚多聞天城高校長は「学力だけに限らず、スポーツや芸術も含め、伸びる芽を伸ばすことが教員の仕事。難関大を目指す生徒を最大限支援する使命が私たちにはある」と話す。

    ■ ■ ■

 「東大は『別世界』と思っている人が多いのでは。私もなかなか身近に感じられませんでした」。第1回合宿に参加した伊藤愛紗さん(19)=朝日高出身=は昨春、東大に合格した。合宿をきっかけに気持ちに大きな変化があったという。

   「高い志を持っている仲間と、それを全力でサポートしてくれる先生がいるという安心感があって、東大が可視化された気がします」

 キムタツもこんな言い回しでエールを送る。「今は受験勉強って面白くないと思ってるかもしれへん。でもな、大学での勉強ってのは答えがないものを探しにいくものなんや。宝探しみたいでおもろいで」

 

   (水嶼佑香)

 
◆        車いすバスケ「難しい」 
掲載日:2017年2月19日/紙面:山陽新聞朝刊
 

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2020年東京五輪・パラリンピックに向けて障害者スポーツへの関心を高めようと、車いすバスケットボールの体験会が18日、イオンモール岡山(岡山市北区下石井)で開かれ、家族連れらが競技の一端に触れた。
 
先着50人が順番に競技用の車いすに乗り、前進や後退、方向転換の操作をしシュートを放った。ゴールが決まるたびに会場からは拍手が起こっていた。
 
母親の庸子さん(42)と参加した幡多小6年の真殿哲平君(12)は「腕の力だけでシュートを打つのは難しかったけれど、楽しかった」と笑顔を見せていた。

 車いすバスケの23歳以下日本代表の塩田理史選手(17)ら、倉敷市を拠点に活動するクラブチーム「岡山WBCウィンディア」の4人も参加。タレントのパンチ佐藤さんらのチームと対戦した。

 体験会はエイベックス・グループ・ホールディングスとイオンモールが主催、日本航空などが協賛し、昨年4月から岡山を含め全国6カ所で行った。 (岡村綾乃)

 
◆        文化科学 優秀成績 17人10団体も (表彰)
掲載日:2017年2月11日/紙面:山陽新聞朝刊
 
  県教委は10日、文化や科学などに関する全国大会で優秀な成績を収めた中高生を対象にした2016年度の「県学校文化関係表彰式」を県庁で行い、17人10団体をたたえた。

 竹井千庫教育長が表彰状と記念の盾を手渡した。受賞者は、それぞれの結果を写真などで報告。全国高校家庭クラブ連盟が主催した全国高校生料理コンクールで最優秀賞に輝いた津山東高3年山崎まりあさん(18)は「これからも食べる人が笑顔になる料理を作っていきたい」と話していた。

 他に表彰されたのは次の皆さん。(敬称略、数字は学年)

【個人】楢原寛子(朝日高2、文学部)新田啓(同、同)安藤貴政(同、物理部)沼本真幸(同、同)守田脩究(同、化学部)プラダン・シュレヤス(同高3、ESS)小坂田響子(同高1)伊丹美保子(芳泉高3、放送文化部)山脇僚太(同、美術部)三宅明日香(同高2、文芸部)藤本一斗(岡山工業高3、化学工学科)北濱駿太(天城高3、サイエンス部)末長祥一(同、同)杉本優友(同高1、サイエンス部)大森春歌(総社南高2)永田愛実(山陽女子中3、放送部)

【団体】倉敷商業高簿記部、津山東高食物調理科、総社南高ダンス部、就実中高バトン部、明誠学院高吹奏楽部、同高書道部、岡山理科大付属高科学部生物班、学芸館高吹奏楽部、清心女子高生命科学コースデンジソウ研究グループ、岡山白陵中ディベート同好会
(水嶼佑香)

◆        全身全霊で戦う 岡山で県選手団壮行式
掲載日:2017年1月14日/紙面:山陽新聞朝刊
 

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第72回冬季国体スケート、アイスホッケー(27〜31日・長野市ほか)に出場する岡山県選手団の結団壮行式が13日、岡山市の県立図書館で約80人が参加して開かれ、選手、監督らが健闘を誓った。

選手団は総勢44人。団長の越宗孝昌県体協会長(山陽新聞社会長)がアイスホッケー少年の渡部拓海主将(鷲羽高)に代表として選手証を交付。旗手を務めるフィギュアスケート少年女子の白神伶菜(玉島高)に団旗が手渡された後、同少年男子の佐々木美行監督(倉敷・旭丘小教)が「チームワークを推進力に全種目入賞を目指します」、アイスホッケー少年の田村樹伯監督(岡山市西消防署)は「少年、成年ともベスト8を目標に全身全霊で戦います」とそれぞれ決意表明した。

越宗団長が「選手団として心を一つにし、目標の天皇杯(男女総合成績)10位台前半に向けて良いスタートを切って、岡山県民の熱い期待に応えていきたい」とあいさつ。全員で「ガンバロー」と気勢を上げた。フィギュアスケート少年女子に出場する妹尾日菜子(清心女高)は「初出場で緊張すると思うが、入賞を目指す」と意気込んだ。
スキーを含めた昨年の冬季国体で、岡山は天皇杯20位(競技得点53点)。前回45点を獲得したフィギュア勢を中心に活躍が期待される。

2年ぶりの出場となるアイスホッケー少年の渡部主将は「勝つことしか考えていない。磨いてきた全員ホッケーでチームに流れを持ってくる」と意欲を見せた。
メンバー11人全員が中学、高校と同じチームでプレーし、まとまりの良さが特徴だ。昨年12月のブロック予選は初戦で愛媛を4―1で退け、代表決定戦では昨年敗れた広島をゲームウイニングショットの末に撃破し、本大会切符をつかんだ。
28日の1回戦でぶつかるのは開催県の長野だ。勝てば8位以内が確定するだけに「得点機をものにする」とFW池田貴裕(天城高)。強豪を破り、岡山に4年ぶりの競技得点をもたらすつもりだ。 (杉本明信)

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