大学共通テスト記述式見送り 

/掲載日:2019年12月18日/紙面:山陽新聞朝刊


 2020年度開始の大学入学共通テストで、英語民間検定試験に続き、国語と数学への記述式問題の導入の見送りが決まった17日、岡山県内の高校2年生や学校関係者からは「ほっとした」との声が相次いだ一方、見通しの甘さを指摘するなど厳しい声も聞かれた。(1面関連)

 記述式問題を巡っては、50万人以上の答案をミスなく採点できるかや、適切に自己採点ができるかといった不安の声が尽きなかったため、生徒らの受け止めは冷静。ただ、安堵の中にも思いは複雑なようで、天城高理数科2年の山田琉生さん(16)は「大学入試制度改革は小学生の時から議論されている。今になって頓挫とは見通しが甘かったのではないかと感じる」と疑問を投げ掛けた。

 「入学した時から記述式を受けるものだと思って勉強してきた。今までやってきたことは何だったのだろう」と話すのは国公立大を目指す城東高2年小松悠人さん(17)。津山高2年山本桃子さん(17)は「決定に戸惑いはないし、対策もしやすくなったが、文部科学省の発表が遅いなと思う。せめて入学前には知りたかった」とした。

 前向きに捉えるのは岡山学芸館清秀高等部2年谷珠希さん(17)。「これまでやってきた対策は無駄ではない。国公立などの2次試験で通用するし、思考力や表現力の強化につながる。今後、必ずどこかで役立つ糸口になる」と語った。

 学校関係者は文科省の対応に振り回された子どもたちを思いやり、「生徒にとっては一生がかかっている試験。今回のような不安を抱かせることなく、勉強に集中できる制度にしてもらいたい」と勝山高で数学を担当する竹内稔主幹教諭。岡山県高校長協会の近藤治会長(操山高校長)は「思考力、判断力、表現力を評価するという制度の方向性には賛同するが、設計に課題が残っていた。国にはもっと早く決断してほしかった」としている。