日時:令和4年7月29日(金)13:00~15:00
場所:本校コンベンションホール(オンライン)
講演講師:大阪公立大学 人工光合成研究センター 中薗孝志 氏
演題:人工光合成 カーボンニュートラルな社会の実現を目指して 参加者:理数科1年次生40名

【概 要】高校60回卒業生(平成20年卒業)で,大阪公立大学の教員をされている新進気鋭の若手研究者 中薗孝志 氏の講演会を実施しました。ご自身の研究である「人工光合成」の最先端お話をはじめ,高校から大学・大学院・研究者への道のり,高校時代の思い出や課題研究のことなど,お話しいただきました。本題の光合成のお話では,実演を交えた興味深い説明をしてくださいました。

本題に入る前に,「酸化数」の説明と演習がありました。8人の生徒が当てられて答えました。HClO4の塩素の酸化数(+7)が難しかったようです。
どうやって進路を決めたか,天城小学校時代からこれまでを振り返り,進路選択についての貴重なアドバイスをいただきました。小学生のころは歴史学者になりたかったそうですが,高校で山岳部の顧問から「人工光合成」という言葉を聞き,この道に進むきっかけとなったとのことです。大学進学の選択では,研究室で行われている研究が決め手となったようです。大学入学後の学業ではずいぶん苦労されたそうですが,実験やプレゼンテーションでは,SSHのカリキュラムのおかげで圧倒的な強みを発揮されたとのことでした。
実演がありました。クロロフィルの入った緑色の液体にブラックライトを当てると電子のエネルギーレベルが上がりま
す。
エネルギーレベルの上がった電子は,20 ns(ナノ秒)という極めて短い時間で赤い光を放出し,もとのエネルギーレベルに戻ります。
クロロフィルに光が当たり,エネルギーレベルが上がった電子が,光を放出することなく,次々と他の物質に受け渡されて光合成が行われるということです(画面上段の模式図の左ら右へ)。植物の葉からは光合成により,酸素が発生しています。光合成では,光を当てることで水から電子が奪われます。画面左下は酸素発生触媒です。

最後に生徒からの質問の時間で,「エネルギーレベルの上がった電子が光を放出するまでの時間20nsと,物質を伝わっていく時間では,どちらが短いですか。」との理数科らしい鋭い質問がありました。「物質を伝わっていく時間が桁違いに短い」との回答でした。

講演会終了後の座談会では,「コロナが収束したら今度は是非対面で講演をお願いしますね。」との本校からのお願いに対し「ホテル(ご実家)[笑!]も学校から数分のすぐ近くなので,いつでもうかがいますよ。」とのお言葉をいただきました。

本日のご講演ありがとうございました。中薗様の今後のご活躍をご期待申し上げます。